茶道つれづれ 16

海外での日本文化

もう風薫る新緑の季節が来つつあるというのに、新型コロナウィルスの感染防止のため、軒並み茶道行事は中止となり、お稽古もお休みにしているところに緊急事態宣言が出て裏千家の東京も京都も閉鎖になり、いつもと違う少し寂しい春を過ごすことになりました。
確かに今は大変な時でとにかく感染防止に努めつつ、これは神様が下さった大切な時間と思い、家にいて日々忙殺されて振り返る事の少なかったJAL時代の思い出の整理にかかりました~。
大使館からの依頼でJALのフランクフルト支店で呈茶をしたことがあります。
茶道具などは全部日本から…それもフライトのステイの一日を振り当てることになりフライト用のサムソナイトに重くならないように単衣の着物を入れ、略盆点前の道具を忍ばせ、抹茶も日本から持っていき、お菓子は日持ちする干菓子も持参して・・・。鉄瓶は無いので薬缶を代用し、支店のロビーに簡易茶席を設け、ドイツの皆様の抹茶を楽しんでいただきました。茶碗はたぶんパリ支店から持ってきたカフェオレボウルだったと思います。
私はCAとしては異端児で地上職として入社し、カウンターエージェントを経て職変していますので、その頃はパリやロンドンなどヨーロッパ各地に、もちろんフランクフルトにも以前のエージェントの同僚や先輩が多く駐在していて応援してくれました。

薄器:青貝波車中棗、茶碗:金砂子青楓、
茶杓:淡々斎作 銘「草笛」

ヨーロッパに限らず、海外ではすごく日本文化のことを聞かれます。
私たちがそれぞれの外国の断片しか知らないのと同様に多くの外国人は茶道・華道・香道・武道などの日本っぽい知識がバラバラに…でもその人の都合の良い接着剤で繋ぎとめて記憶されているので、説明するのは結構大変!日本人は四季を愛でていて…から始めるとそれは何ともしんどい会話。(英語では表現が難しいニュアンスもあり、さらにそれを現地の言葉でわかってもらうのは至難の業!)
でも、日本のことを興味深く思って下さる気持ちは嬉しくついつい力が入ってしまい、なんだかへとへとになってしまった記憶があります。
いろいろな国でホームパーティやガーデンパーティに行くと必ず日本文化の何か一つを質問されます。主催の友人が「彼女はCAで、Japanese tea ceremonyのインストラクターで、ソムリエで…」などと紹介されようものなら、やれ中国茶と日本茶はどうの、日本酒はどうの、自分の国と日本との歴史はどうの…と始まり、これまた結構、知力と体力を要求される時間が始まります。
今思えば、だからこそ自分の生まれた国の文化や歴史をもっと勉強しなければ!と心に誓ったに違いありません。そしてその文化と歴史を受け継ぐ大好きな茶道の世界を次の世代にも引き継いでいきたいと願う原動力になり今の自分の揺るぎないコンセプトになったと思うのです。
この感染のパンデミックの中でも、一服のお茶がゆとり・優しさ・癒し・研鑽・健康・幸せ・感動そして思い出までも運んで来てくれます。ありがたいことです!

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